【FXの取引数量・ロット計算を解説】許容損失から適正数量を決める5ステップ

【FXの取引数量・ロット計算を解説】許容損失から適正数量を決める5ステップ
  • 取引き出来るようになったが、何通貨買えばいいのか分からない
  • 前回取引で想像以上の含み損を出してしまった
  • 資金30万円なら何ロットが正解なのか分からない

損切り位置までは自分なりに決められるようになったのに、いざ注文画面を開くと「何通貨」「何Lot」で手が止まる。FX初心者がこの段階でつまずくのは、あなたの理解力の問題ではなく、取引数量の決め方を体系的に教えてくれる情報が少ないからです。

資金額だけを見て取引数量を毎回同じにすると、損切り幅が変わるたびに想定損失額も変わります。そのため、ロットを先に固定するのではなく、損切り位置と許容損失額から取引数量を逆算することが重要です。

この記事では、口座資金30万円のサラリーマンがドル円を取引する例をもとに、損切り位置から適正な取引数量を逆算する5つのステップを、実際の数字を使って一つずつ解説します。円絡み以外の通貨ペアの計算方法や、必要証拠金と適正数量の違いまでカバーしています。

この記事を読むと、「今回は損切りまで40pips。自分が許容できる損失額は3,000円。だから7,000通貨にしよう」というように、エントリーのたびに自分で取引数量を判断できるようになります。

ロットは先に決めるものではありません。損切り位置と許容損失額から、毎回逆算するものです。その考え方を、この記事で身につけていきましょう。

FXの取引数量より損切り位置を先に決める

取引数量を決めるときは、何Lotなら利益が大きいかではなく、このトレードが外れたら、どこで撤退し、いくらまでなら失ってもよいかを先に考えます。

なぜなら、損切りまでの値幅が変われば、同じ取引数量でも損失額が変わるからです。口座に入っている金額だけから「30万円なら毎回3,000通貨」と決めても、チャート上の損切り位置が毎回違う以上、リスクは一定になりません。数量を先に固定するということは、結果として「いくら失うか」を相場任せにしているのと同じです。

  • 先に決めるもの:エントリー根拠が崩れる損切り位置
  • 次に決めるもの:失っても生活や仕事の判断を乱さない金額
  • 最後に調整するもの:取引数量と注文画面へ入力するLot数

この順番なら、「勝てそうだから数量を増やす」「今日は取り返したいから多めに入れる」といった感情任せの注文を減らせます。ロットは利益を増やすアクセルではなく、1回の失敗で失う金額を調整する蛇口だと考えてください。蛇口を大きく開けば、勝ったときの水量(利益)も増えますが、外れたときに流れ出す水量(損失)も同じだけ増えます。

同じ資金でも損切り幅が異なれば適正数量が変わる

「損切り幅で数量が変わる」と言われても理解しづらいかもしれません。値幅が4倍になれば、同じ許容損失額に収める取引数量は逆に4分の1になる、という反比例の関係にあります。数式より先に、具体的な数字で体感してみましょう。

例として、口座資金30万円、1回の許容損失額3,000円、USD/JPY(米ドル/円)で1pip=0.01円と仮定します。20pipsは0.20円、80pipsは0.80円です。

条件損切り幅計算取引数量
Aトレード20pips(0.20円)3,000円÷0.20円15,000通貨
Bトレード80pips(0.80円)3,000円÷0.80円3,750通貨

もしBトレードでも、Aと同じ15,000通貨のまま注文したらどうなるでしょうか。損切り時の想定損失は「15,000通貨×0.80円=12,000円」です。自分が許容していたはずの3,000円の、実に4倍の損失になってしまいます。「たった数字を変え忘れただけ」で、許容ラインを大きく超えてしまう。これが、数量を固定することの怖さです。

損切り幅が広いこと自体が悪いわけではない

チャート上の根拠から80pips必要なら、損切りを無理に近づけるのではなく、数量を4分の1にします。これがポジションサイジングです。損切り幅は「相場が決める」もの、数量は「自分が調整する」ものと役割を分けて考えると、迷いが減ります。

FXのロットと取引数量の違い

取引数量は実際に売買する通貨の数、Lotはその数量をまとめて注文するための単位です。この2つを混同すると、SNSや掲示板で見た「6Lot入りました」といった投稿を自分の口座にそのまま当てはめてしまい、想定外の損失につながることがあります。だからこそ、先に通貨数で適正数量を計算し、最後に利用口座のLotへ換算することで、数量の取り違えを防ぎやすくなります。

取引数量(通貨)=Lot数×1Lotあたりの通貨数
Lot数=取引数量÷1Lotあたりの通貨数

「6Lot」と聞いても、その口座で1Lotが何通貨か分からなければ、実際の取引規模は判断できません。1Lot=1,000通貨の口座なら6,000通貨ですが、1Lot=10万通貨の口座なら60万通貨とまったく規模が違います。他人のLot数をそのまま自分の注文へ移すのが危険なのは、このためです。

1Lotが何通貨かは、FX会社・口座・商品ごとに異なる

1Lotが何通貨を表すかは、FX会社や口座、商品によって異なります。また、最低取引単位や発注できる数量の刻みもFX会社ごとに異なります。そのため、「1Lot=○通貨」と一律に覚えるのではなく、利用する口座の契約サイズや取引単位を確認してください。

例えば、1Lotの定義が次のような口座だった場合、7,500通貨は以下のように換算できます。

計算した数量1Lot=1,000通貨1Lot=1万通貨1Lot=10万通貨
6,000通貨6Lot0.6Lot0.06Lot
7,500通貨7.5Lot0.75Lot0.075Lot

同じ「7,500通貨」でも、口座によって入力するLot数はまったく違う数字になります。だからこそ、計算はいったん「通貨数」で行い、最後の一手間として自分の口座のLot定義に変換する、という2段階の手順を徹底しましょう。

注文前に確認する場所

  • 契約締結前交付書面・取引要綱の「取引単位」
  • 商品別の契約サイズ
  • 最小注文数量と発注刻み
  • 注文確認画面に表示される通貨数・想定元本

「国内だから必ず1万通貨」「海外だから必ず10万通貨」と覚えるのではなく、利用する口座の仕様を一次資料で確認しましょう。この一手間を惜しまないことが、後述する「7,500通貨のつもりが7万5,000通貨だった」というような桁違いの事故を防ぎます。

pipsを円の値幅へ直せれば円絡み通貨ペアは簡単に計算できる

USD/JPYなどJPYが絡む通貨ペアでは、一般に1pip=0.01円として、pipsを円の値幅へ変換できます。これができれば、あとは掛け算・割り算だけで損益とリスクを見積もれるようになります。

値幅円換算1,000通貨の損益1万通貨の損益
1pip0.01円約10円約100円
20pips0.20円約200円約2,000円
40pips0.40円約400円約4,000円
80pips0.80円約800円約8,000円

円絡みの概算損益=値幅(円)×取引数量。たとえば0.40円×7,500通貨=3,000円です。

ただし、取引画面の最小表示桁を「ポイント」と呼ぶ会社もあり、pipsの案内方法が異なる場合があります。計算前に利用会社の定義を確認してください。

適正な取引数量を計算する5ステップ

円絡み通貨ペアの基本は、許容できる損失額を、1通貨あたりの損切り損失で割るだけです。式だけを見ると難しそうに感じますが、この日本語の意味に戻れば「配分の計算」をしているだけだと分かります。ここから、実際の注文画面で使える5つのステップに分解します。

円絡み通貨ペアの基本式

適正取引数量(通貨)=許容損失額(円)÷損切り値幅(円)

ステップ1:エントリー根拠が崩れる損切り位置をチャートで決める

最初に決めるのはLotではなく、売買シナリオが否定される価格です。損切り位置が定まらない限り、値幅も許容損失額も計算のしようがないからです。直近安値・高値、支持線・抵抗線など、自分がエントリーした根拠が崩れる場所をチャートから探します。

  • 買い:根拠となる安値や支持帯を明確に割る位置
  • 売り:根拠となる高値や抵抗帯を明確に超える位置
  • 共通:その価格に達したら「見立てが違った」と認められる位置

先に大きなLotを決めてしまうと、許容損失に合わせるために損切りを不自然に近づけがちです。それでは通常の値動きで損切りされやすくなり、根拠が崩れる前に退場させられてしまいます。必要な損切り幅が広ければ、近づけるのではなく数量を小さくしましょう。

損切り位置は相場が決め、数量は自分が決めるという役割分担を徹底します。

損切り位置の考え方については、下記の記事で詳しく解説しているので参照ください。

ステップ2:エントリー価格から損切りまでの値幅をpipsで測る

次に、エントリー予定価格と損切り価格の差を測ります。ここで正確な値幅が分からなければ、後の計算式すべてが狂ってしまうため、丁寧に測る価値があります。買いなら「エントリー価格-損切り価格」、売りなら「損切り価格-エントリー価格」で、どちらも正の値として扱います。

ドル円の測定例

150.00円で買い、149.60円で損切りする場合、150.00-149.60=0.40円。一般的な定義では40pipsです。

計算上の損切り価格と、実際に約定する価格が同じとは限りません。スプレッド、滑り、重要指標発表、週明けの窓などを考え、許容額を計算上限まで使い切らない余裕も必要です。

ぴったり計算通りではなく、多少のズレを織り込んでおくと、実践でも安心感があります

ステップ3:1回で許容できる損失額を円で決める

許容損失額は、失った後も生活に影響せず、次の取引でルールを守れる金額にします。1%や2%は計算例としてよく使われますが、誰にでも安全な正解ではありません。同じ2%でも、生活防衛資金の有無や本業の収入によって、失ったときの心理的インパクトがまったく違うからです。

許容損失額=取引に充てる資金×1回あたりの許容損失率

たとえば取引資金30万円の1%なら3,000円、0.5%なら1,500円、2%なら6,000円です。ただし、2%以内なら損失が止まるという意味ではありません。2%の損失でも5連敗すれば、単純合計で初期資金の10%相当です。実際には残高が変わるため毎回再計算も必要で、「一度決めたら固定」ではなく、資金状況に応じて見直す前提で扱いましょう。

サラリーマンが取引資金から外すべきお金

  • 家賃、食費、教育費などの生活費
  • 病気や失業に備える生活防衛資金
  • 近く使う予定が決まっているお金
  • 借入金や返済が必要なお金

利益目標から逆算するのではなく、「この金額を失っても、仕事中に相場が気にならず、帰宅後も冷静に振り返れるか」で考えると、自分に合う上限が見えやすくなります。数字だけでなく、自分の感情の反応も判断材料に加えてみてください。

許容損失額を決められない人向けには、損失回避術や資金管理方法を下記にまとめているので、参照ください。

ステップ4:許容損失額を損切り値幅で割って取引数量を求める

損切り幅と許容損失額が決まれば、ようやく取引数量を計算できます。ここまでの3ステップがいわば「準備」で、ここが実際の答えを出す本番です。ここではUSD/JPY、資金30万円、許容損失率1%、損切り幅40pips(0.40円)とします。

再現できる計算手順

  • 許容損失額:300,000円×1%=3,000円
  • 損切り値幅:40pips=0.40円
  • 取引数量:3,000円÷0.40円=7,500通貨
  • 検算:7,500通貨×0.40円=3,000円

pipsを使う一般式は取引数量=許容損失額÷(損切りpips×1通貨・1pipあたりの円価値)です。この例では、1通貨・1pipあたり0.01円なので、「3,000÷(40×0.01)=7,500通貨」と同じ答えになります。最後の検算まで行うと、計算ミスにも気づきやすくなります。

資金許容率許容損失額20pips50pips100pips
10万円1%1,000円5,000通貨2,000通貨1,000通貨
10万円2%2,000円10,000通貨4,000通貨2,000通貨
30万円1%3,000円15,000通貨6,000通貨3,000通貨
100万円1%10,000円50,000通貨20,000通貨10,000通貨

この早見表は、JPY絡みで1pip=0.01円、手数料や滑りを含めない概算です。固定数量の推奨表ではありません。あくまで「感覚をつかむための参考値」として見て、自分の損切り幅と許容額は、その都度この記事の計算手順で入れ直してください。

ステップ5:取引数量をLotへ換算し、最小発注単位に合わせて切り下げる

計算した7,500通貨を、利用口座の1Lot定義で割ります。そのうえで発注刻みに合わない端数は、許容損失額を超えないように切り下げます。なぜ切り上げてはいけないのか、次の表で具体的に見てみましょう。

口座仕様理論値発注刻みの例注文量
1Lot=1,000通貨7.5Lot1Lot刻み7Lot=7,000通貨
1Lot=1万通貨0.75Lot0.1Lot刻み0.7Lot=7,000通貨
1Lot=10万通貨0.075Lot0.01Lot刻み0.07Lot=7,000通貨

7,500通貨を1,000通貨刻みで注文するなら、四捨五入して8,000通貨ではなく、7,000通貨へ切り下げます。想定損失は7,000×0.40円=2,800円です。

もし最小発注単位が1万通貨なら、この条件では最小数量でも想定損失が4,000円となり、許容額3,000円を超えます。この場合の選択肢は2つです。損切り位置を都合よく変えるのではなく、そのトレード自体を見送るか、より細かな数量調整ができる口座を検討するのが筋です。

少額から始めたい方や、取引数量を細かく調整したい方は、松井証券FXが候補になります。

円絡み以外の通貨ペアは「損益通貨を円換算」して計算する

EUR/USDなど円を含まない通貨ペアでは、「値幅×数量」で出る損益が円ではありません。ここを見落として円絡みと同じ感覚で数量を決めると、想定よりも大きく(あるいは小さく)ポジションを持ってしまう原因になります。円口座でリスクを管理するには、損益が発生する通貨を円へ換算する、というひと手間が必要です。

円以外のペアの考え方

損切り値幅×取引数量で決済通貨建ての損失を出し、その決済通貨の対円レートで円換算します。

換算レートも動くため、計算結果は概算です。円絡みの簡便式をそのまま使わず、取引会社の損益・証拠金シミュレーターでも確認しましょう。

EUR/USDの取引数量を円口座で求める計算例

EUR/USDの損切り幅40pips(0.0040米ドル)、許容損失額3,000円、USD/JPY=150円と仮定します。EUR/USDは1ユーロあたり0.0040米ドルの損失になるため、それを円へ直します。

  • 1ユーロあたりの損失:0.0040米ドル×150円=0.60円
  • 取引数量:3,000円÷0.60円=5,000通貨
  • 検算:0.0040米ドル×5,000ユーロ=20米ドル、20米ドル×150円=3,000円

GBP/AUDのように円も米ドルも含まない通貨ペアは換算経路がさらに複雑です。暗算にこだわらず、口座通貨を指定できる公式計算ツールを使うほうがミスを減らせます。

必要証拠金から計算した数量と損失基準の適正数量は別物

必要証拠金で発注できる数量は、持てる数量であって持つべき数量ではありませんこの2つを混同すると、「証拠金に余裕があるから、もう少し増やしても大丈夫」という誤った判断をしてしまいます。必要証拠金は取引を始めるための担保、損失基準の数量は損切り時の損失を許容範囲へ収めるための調整値であり、そもそも目的が違います。

比較必要証拠金損失基準の取引数量
目的発注に必要な担保を知る損切り時の想定損失を抑える
主な入力レート、数量、証拠金率等許容損失額、損切り幅
答える疑問口座資金で発注可能か負けたらいくら失うか

USD/JPY=150円、7,000通貨、レバレッジ換算25倍で単純概算すると、必要証拠金は「150円×7,000通貨÷25=42,000円」です。資金30万円なら計算上はもっと多くの通貨を発注できても、7,000通貨にした理由は証拠金余力ではなく、40pipsの損切りで損失を2,800円に抑えるためです。「発注できる上限」と「発注すべき数量」は、常に別々に確認する癖をつけましょう。

実際の必要証拠金は、FX会社の証拠金率、通貨ペア、判定レートなどで決まります。必ず取引会社の表示・取引要綱を優先してください。

最大25倍のレバレッジ規制は、25倍まで使って安全ではない

FXに対する25倍以下という規制は、個人ごとの推奨倍率ではありません。金融庁は、個人が行う店頭FXについて取引金額の4%以上の証拠金を預託するルール、つまりレバレッジ換算25倍以下と説明しています。これは「口座が受け付けられる上限」を定めたものであり、「その倍率まで使うことが望ましい」という意味ではない点に注意が必要です。

>>参照:金融庁「いわゆる外国為替証拠金取引について」

上限が25倍だからといって、25倍まで使えば安全ということではありません。低い実効レバレッジも余力を見る一つの指標ですが、損切り幅を無視すれば1回の損失額は管理できません。数量は損切り幅と許容損失額から決め、証拠金余力は別に確認しましょう。

ロスカットがあるため証拠金を超える損失はない、とは限らない

ロスカットは損失額を保証する仕組みではありません。金融庁は、相場が急激に変動した場合などには、証拠金を上回る損失が生じることがあると注意喚起しています。「ロスカットがあるから最悪でも証拠金分しか減らない」という思い込みは、想定外の急変時には通用しない可能性があります。

だからこそ、強制ロスカットまで耐える前提ではなく、自分で決めた損切り注文と余裕のある数量で管理します。急変時には想定を超える可能性を残し、計算結果よりさらに小さくする判断も必要です。

取引数量の決め方でよくある7つの失敗

計算式を知っていても、注文直前にロットを増やしたり、損切り位置を変更したりすれば、想定したリスクから外れてしまいます。次の7つに当てはまっていないか確認してください。

  • 資金額だけで毎回同じLotに固定する
  • 先にLotを決め、損切りを近づける
  • 必要証拠金で買える上限を適正数量だと思う
  • 2%ルールや低レバレッジを絶対安全だと思う
  • 計算結果を四捨五入して切り上げる
  • 複数ポジションの合計リスクを見落とす
  • 含み損が気になり勤務中もスマホを確認する

①資金額だけで毎回同じLotに固定する

「資金30万円だから毎回1万通貨」では、1回ごとの損失額は一定になりません。損切り幅がトレードごとに違うのに、数量だけを固定しているからです。20pipsなら2,000円、80pipsなら8,000円と、同じ数量でも4倍の差が出ます。

エントリーのたびに損切り幅を測り、許容損失額を超えない数量へ計算し直しましょう。

②先にLotを決め、損失額に合わせて損切りを近づける

大きなLotを維持するために損切りを近づけると、相場分析ではなく数量の都合で撤退位置が決まります。理由と手順が逆転してしまっている状態です。結果として、エントリー根拠が残っているのに通常の値動きで損切りされることがあります。

チャートから損切り位置を先に決め、幅が広ければLotを小さくしましょう。

③必要証拠金で買える上限を適正ロットだと思う

注文画面に表示される発注可能額は、口座が受け付けられる上限にすぎません。「発注できる=発注すべき」ではないのに、この2つを同じものとして扱ってしまうと、小さな逆行でも許容を超える損失になる可能性があります。

2つを別々に確認

  • 損切り基準で出した数量はいくらか
  • その数量を発注する証拠金と余力は足りるか

④2%ルールや低レバレッジを「絶対安全」と思う

2%ルールは資金管理の一例であり、公的な安全基準ではありません。「2%だから安全」という数字だけの安心感を持ってしまうと、連敗が続いたときに資金が着実に減っていく現実を見落とします。2%でも連敗すれば資金は減り、急変や滑りでは計算額を超えることもあります。低レバレッジも損失を自動的に限定する保証ではありません。

1%や2%を出発点にしても、自分の生活資金、経験、連敗耐性、相場状況に応じてLotを小さくし、上限まで使い切らない余裕を残します。

⑤計算結果を四捨五入して許容損失を超える

適正数量7,500通貨に対し、発注刻みが1,000通貨なら、8,000通貨へ四捨五入すると許容損失を超えます。「わずか500通貨の差」に見えるかもしれませんが、小さな差に見えても、毎回切り上げればルールが形骸化し、積み重なれば大きなブレになります。

端数処理の原則

最小発注単位へ切り下げます。最小数量でも許容額を超えるなら、その取引を見送ります。

⑥複数ポジションの合計リスクを見落とす

1つずつは許容損失1%でも、3つ同時に保有すれば単純合計は3%です。1トレードごとの計算だけに気を取られていると、口座全体としてのリスクを見失います。さらに、USD/JPYの買いとEUR/USDの売りなど、同じ通貨への方向性が重なる組み合わせでは、同時に損失が出る可能性もあります。

合計想定損失=各ポジションの損切り時想定損失の合計。新規注文の前に既存ポジションも含めて計算します。

⑦含み損が気になり勤務中も何度もスマホを確認する

会議中にも価格が気になり、トイレへ行くたびにチャートを開く。そんな状態は、メンタルの弱さだけが原因ではありません。自分の許容範囲に対して数量が大きすぎるサインである可能性を、一度疑ってみる価値があります。

サラリーマンは勤務中ずっと相場を監視できません。監視できない時間にも機能する損切り注文を置き、約定しても生活や仕事を壊さない数量まで落とすことが大切です。数量を半分にしても気になるなら、さらに小さくするか、その日は見送って構いません。

TaruFXの判断基準

大きく稼げそうな数量ではなく、仕事と生活を守りながらルールを実行できる数量を選びます。

FXの取引数量・ロット計算に関するよくある質問

最後に、取引数量を決めるときに生じやすい疑問へ簡潔に答えます。共通する原則は、固定Lotではなく損切り位置から逆算することです。

迷ったときは「この数量で損切りされたら何円失うか」を掛け算で検算してください。

一律に「○Lotから」とは決められません。1Lotの通貨数が口座ごとに違い、損切り幅によっても許容できる数量が変わるためです。

損切り幅と許容損失額から通貨数を計算し、その数量以下で発注できる最小単位を選びます。最小単位でも大きければ見送りましょう。

資金額だけでは決まりません。許容損失額と損切り幅が必要です。同じ30万円・許容損失3,000円でも、20pipsなら15,000通貨、80pipsなら3,750通貨です。

必要な3項目

  • 今回の損切り幅
  • 今回の許容損失額
  • 利用口座の発注単位

どちらもあり得ます。10万通貨の場合もあり、FX会社、口座タイプ、商品で異なります。

先に通貨数で計算し、最後に「取引数量÷1Lotあたりの通貨数」で利用口座のLotへ換算するのが安全です。

JPY絡みで1pip=0.01円なら、1,000通貨×0.01円=約10円です。10pipsなら約100円、100pips(1円)なら約1,000円です。

非円絡みでは損益が決済通貨で発生し、円換算レートで金額が変わります。FX会社サイトも確認してください

必須の公的ルールではなく、資金管理の考え方の一例です。1%や2%を参考にしつつ、生活資金、取引経験、連敗への耐性に応じて、より小さく設定して構いません。

2%以内なら損失が限定されるわけではありません。相場急変や滑りなど想定外の場合もあるので注意しましょう。

証拠金維持率は余力を見る指標ですが、損切りされたときの金額が自分の許容範囲かどうかは別問題です。

数量は「許容損失額÷1通貨あたりの損切り損失」で決め、その後に証拠金維持率・必要証拠金を確認しましょう。

チャート上の根拠があるなら、損切り位置を無理に近づけず、取引数量を小さくします。損切り幅が2倍なら、同じ許容損失額にする数量は半分です。

見送る基準

利用口座の最小数量まで下げても許容損失額を超えるなら、そのトレードは見送ります。

各ポジションが損切りされた場合の円損失を計算し、合計します。同一通貨や相関の高い組み合わせでは、同じ方向へリスクを重ねていないかも確認します。

例:想定損失3,000円のポジションを3つ持てば、合計想定損失は9,000円です。新規注文分だけでなく保有中の全体を見ます。

トレード毎に取引数量を自分で決めよう

FXの取引数量は、資金額から固定的に決めるものではありません。ロットを先に決めず、損切り位置と許容損失額から、今回の取引数量を逆算するのが基本です。同じ資金でも、トレードごとに損切り幅は変わり、それに応じて適正な数量も変わるからです。

注文前チェックリスト

  • エントリー根拠が崩れる損切り位置を決めたか
  • エントリーから損切りまでの値幅を測ったか
  • 生活資金に影響しない許容損失額を決めたか
  • 許容損失額÷1通貨あたりの損切り損失で数量を出したか
  • 1Lotの定義と最小発注単位を確認し、安全側へ切り下げたか
  • 必要証拠金、既存ポジションとの合計リスク、損切り注文を確認したか

資金30万円、USD/JPYを150.00円で買い、149.60円で損切り、許容損失額3,000円なら、損切り幅は40pipsです。理論値は7,500通貨。1,000通貨刻みなら、注文量は7,000通貨に切り下げます。

「今回は損切りまで40pips。失ってよいのは3,000円。だから7,000通貨にする」。この一文を注文前に言える状態が、この記事のゴールです。

大きなLotを持てることが成長ではありません。相場を見られない勤務時間があっても、損切りされた夜に落ち着いて眠れ、翌日の仕事をいつもどおり続けられる。そんな数量を毎回選べることこそ、会社員がFXを長く続けるための土台になります。次の注文画面の前で、ぜひこの6項目を思い出してみてください。

本記事は取引数量計算の一般的な考え方を解説するもので、特定の取引や利益を推奨・保証するものではありません。FXには元本を失うリスクがあり、相場急変時には想定を超える損失が生じる場合があります。最終的な取引判断は、利用会社の契約書面・取引ルールを確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。